パワートランスフォーマーの漂遊損失解析

事例概要

電源トランスの定格増大化により、漏れ磁束によるトランスコイル周囲の構造部品への漂遊損失も増大する。この漂遊損失は全負荷損失の10%から最大40%程度を占めるケースがあり、この結果、タンクのホットスポットが大幅に増加する可能性がある。これを受けて、トランスコイルに漏れ磁束遮断部品(シャントウォール)の設置有無の状況下での漂遊負荷損失を解析する。

  • 解析条件)

    解析モード:周波数応答解析(Time Harmonic)
    電源トランス定格: 100MVA
    入力周波数: 50Hz/AC
    シャントウォール(Flux Collector):磁性材
    フレーム材、タンク材:炭素鋼

  • Fig1

解析結果)

下図にトランスコイル周囲の構造部品に発生する磁束密度解析結果を示す。
左図はシャントウォールなし、右図はシャントウォールありで、シャントウォールにて変圧コイルから発生している漏れ磁束が大きく広範囲にわたり集磁されていることが分かる。

  • Fig2

  • Fig3

下図は時間平均損失量の解析結果で、左図はシャントウォールなし、右図はシャントウォールありとなる。
シャントウォールがない場合、変圧コイル上・下部から上・下フレーム位置にわたり損失が発生しており、これは磁束密度解析結果での高磁束透磁分布の形態と一致する。

Fig4

上記2通りの解析結果より、変圧コイルからの漏れ磁束により生成される漂遊負荷損失に関しては、シャントウォールあり状態でのフレーム上での損失量は約60%減、タンク上での損失量は約50%減となり、シャントウォールによる大幅な集磁効果が確認された。

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